我が国は、このままでは超高齢化が進み並行して医療の崩壊が待っている。政治家も医療業界も医療制度や環境を変えようとしない。医療崩壊が目の前に起きなければ動かないのであろうか。医療改革は医療政策が有って政策に基づき改革が行われる。しかし、現在の医療政策そのものが大きな改革へ進む道標を示していない。医療改革には、関係者の利害が係わり政治では決めることができないでいる。学術界も確たる政策論を展開できないでいるように思える。医療の崩壊は、医療を受診できない患者が増えると同時に医師の失業も増加するのである。私たちは、思い切って、ここで強いご批判を覚悟の上で医療崩壊を防ぐために6つの改革を提案したい。
1、未病管理(保健管理)
未病管理とは、東洋型保健管理であり、疾病が発症する前に治(管理)すことである。未病とは、「未ダ病ニアラズ」で疾病(病気)状態ではない。検査数値が異常値に近い状態或いは不摂生な生活環境が続く状態を言うと考える。その未病の状態から、より健康な状態に戻すことこそが大切と考える。国民一人一人が家庭で、地域で、学校で、職場で、未病管理を実践することである。国を挙げて未病管理行わなければならない。
2、医業の解放
医師のみが行える医行為の解放である。簡単な医行為であっても医師の指示が無ければ医師以外には認められていない。しかし、米国においては認定された看護師がコンビニの隣で簡易診療所を開設できる。風邪や簡単な疾病は大病院に赴く必要もなく治療費も安い。我が国は、救急救命士であっても医行為としての救命措置はできない。余りに医師の医業を広くし過ぎ弊害が多く存在するだけでなく医療費の膨大な支出にもなっている。医師のみが行い得る厳格な医業を開放することは急務と考える。
3、国立大医学部の新設
金で入学できる私立大医学部の改革である。国立医大の新設は、国庫の負担が増えて赤字が増大すると考える人が多であろうが、私大医学部は法外な学費なために卒業後は稼ぐことが最優先となるのは仕方ないことであろう。学費の少ない国立医大を創ることは医師報酬の減額にもつながり、大きな歳出削減である。国立医大を卒業した優秀な医師を育てることは長い目で見たとき国家負担が軽減されるのである。金が無くても優秀であれば医師に成れる教育制度こそ大切であろう。
4、医師資格の更新
医師、看護師等の医療資格は、一度取得すれば全くその後に勉強をしなくても資格を剥奪されない。宅建士、ケアマネ等は更新が必要であるが、医療系国家資格は更新制度が無く、一度資格を取得すれば勉強、研究をしなくても生涯医師でいられる。他の失格で更新時に研修を求める国家資格も多いのであるが不思議な医師等の免許である。医師等の更新に場合によっては再試験も必要かもしれない。人の命を預かる医師が資格取得後は全く勉強をしなくても医師でいられることが不自然である。
5、医療カルテの国有管理
野党が大反対しそうな提案である。イギリスでは医療が崩壊し、その対策の一つとして医療カルテの国有管理が行われソフトの開発は日本の企業が担当したのである。重複検査、重複診療が行われなくなるので国費の無駄が無くなる。個人情報は、医療機関からの管理センターへの問い合わせは患者の同意を要することで守ることができる。しかし、誤診が分ってしまうので医師会は大反対するであろう。個人の医療情報が生誕から死を迎えるまで保存されることは難病の解決にも役立つこともあるであろう。
6、かかりつけ薬局の徹底
現在、できるだけ「かかりつけ医」を推奨しているが、「かかりつけ薬局」は力を入れていないように見える。「お薬手帳」で十分と厚労省は考えているのであろうが不十分である。「かかりつけ薬局」の良さは投薬情報が一か所に集積するからである。現在は、各医療機関を受診した患者は医療機関の門前薬局に調剤を依頼するのが殆どであろう。そのために、お薬手帳が無ければ重複投薬もあり得るのである。もちろん、「かかりつけ薬局」の推進には薬剤師の質の向上が条件となる。投薬のミス、二重投薬のチェック、過去の病歴のチェック等ができなければ絵に描いた餅になってしまう。門前薬局の禁止も強制しなければ、「かかりつけ薬局」は増えないであろう。
以上の提案は、ほんの一部である。抜本的な医療政策に基づく抜本的な医療改革が行われなければ我が国は崩壊へと向かうであろう。

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