臨床総合医科学にとって医療政策は一見関係ないように思われる。その感性は、専門性が進み、体系化が整理された学問の教育を受けて受け入れることができないでいる現代の研究者の特徴であろう。大学の医学教育も臨床現場も全て医療政策から発して制度化されている。医学に関わる全ての学会は医療政策を研究すべきと考えるのである。当学会は特に総合学問である。なお更に医療政策を研究対象としなければならない。臨床現場から医療政策に声を上げるのである。また、医療政策は、柔軟な頭脳を持たなければ立案することができない。そして医事法があり、臨床現場があり、医療政策がある。自然科学、社会科学の垣根を越えて研究しなければならないと考える。


臨床総合医科学と社会科学について
臨床総合医科学は、自然科学分野であり医療政策、医事法は社会科学の分野である。しかし、現実の人間社会にはその区別はない。臨床総合医科学は、総合診療を中心とした分野であるが総合と名の付くとおり、総合診療のための手段、方法、隣接等を広く研究対象としなければ意味がない。総合診療は、他の医科学とは異なり、見る方向性の違い、立ち位置の相違、そのほか発想の転換をしなければ、どんなに臨床推論を駆使しても診断が行き詰まってしまう。患者に対して医療従事者でない医療知識のある医療関係者から見てみることも一つのヒントが有られることもあるであろう。医科学は、進歩し検査も、かなりの精度で正しい数値を出してくれる。しかし、どんなに医学、検査方法が進歩しようが人の命のメカニズム、不思議さは解明できないであろう。某大学法学部の入試で数学を選択科目に選んだ受験生には下駄を履かせたことがあった。数学を選択した受験生は司法試験に合格する確率が高かったからである。それは、法律の解釈に数学の知恵が役に立つことを意味している。逆に、自然科学である臨床総合医科学に対して社会科学の目で見てはどうであろうか、異なる視点から異なる結果も生まれてくる可能性がある。

当学会は、総合診療を中心として、そのための医療面接、臨床推論、総合医療間セリングを研究し、隣接、学際的医事法、医療政策を研究したいと考えている。臨床総合医科学は今までにない医学の広義の臨床学として発展させ行きたいと考える。